中学生に多い起立性調節障害の治し方!食生活の見直しや運動も大切
起立性調節障害とは、自律神経がうまく働かずに血流が低下し、身体や気持ちにさまざまな不調が現れる病気 のことです。症状が重く学校へ通えない子どももいるなど、起立性調節障害に悩む中学生は多くいます。
そこで今回は、起立性調節障害の治し方を中心に解説します。起立性調節障害に悩んでいる中学生とご家族の方は、ぜひ最後までご覧ください。
中学生の約10人に1人が起立性調節障害
起立性調節障害は、すべての中学生のうち約10%の生徒にみられる病気です。起立性調節障害を発症する理由は不明ですが、運動不足や夜型の生活習慣、周辺環境からくるストレスが原因との見方もあります。
近年では、起立性調節障害と診断される子どもの数は増加傾向にあり、とくに小学校高学年から中学生にかけて多いのが特徴です。男女別にみると、男子生徒と比較して女子生徒のほうが約20%多いとの結果も出ています。
起立性調節障害の主な症状
起立性調節障害を発症した中学生には、以下の症状が現れることがあります。
【起立性調節障害の症状例】
- 朝起こされたことを覚えていない
- 立ちくらみ、めまい、頭痛などがある
- 以前よりも成績が下がった
- 午前は調子が悪く、午後は症状が回復する
- 季節や天候の変化にともなって症状の重さが変わる
起立性調節障害の症状は、日によって強さが異なります。夕方以降になると布団に入るまで活発になるケースがあるなど、1日のうちでも変化しやすいです。
起立性調節障害の治し方は2種類に大別できる
起立性調節障害の治し方は、薬物療法と非薬物療法の2種類にわけられます。軽症であれば、非薬物療法で症状の緩和を目指すのが基本的な治し方です。
薬物療法
薬物療法とは、医療機関を受診し、医師から処方してもらった薬を服用する治し方のことです。血管の収縮や、自律神経を構成する交感神経の機能を促すものが処方 されます。
ただし、起立性調節障害は薬物療法だけで改善するものではありません。薬物療法による治療の場合は、非薬物療法も行って症状の改善を目指します。
非薬物療法
非薬物療法とは薬物療法とは異なり、薬物を使用せずに起立性調節障害の改善を図る治し方のことです。自分で行える内容の治し方が多く、中学生でも無理なく実践できます。
【非薬物療法の例】
- 光を浴びる
- 食生活を見直す
- 運動に取り組む
- 水を飲む
- ゆっくり立ち上がる など
外出せずとも自宅で取り組める方法が多いことが、非薬物療法にみられる特徴です。
起立性調節障害の具体的な治し方
起立性調節障害の治し方は、薬物療法と非薬物療法をあわせて行います。ここからは、具体的な治し方を見ていきましょう。
処方薬を服用する
非薬物療法だけでは起立性調節障害が改善されない場合などには、処方薬を服用します。「ミドドリン塩酸塩」や「メチル硫酸アメジニウム」などが、起立性調節障害に効果があるとされています。
また、起立性調節障害と診断された際、漢方薬が処方されるケースも少なくありません。
【起立性調節障害の治療に用いられる漢方薬】
- 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
- 小建中湯(しょうけんちゅうとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 半夏白朮天麻(はんげびゃくじゅつてんまとう)
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
漢方薬は、ミドドリン塩酸塩などの薬を服用しても起立性調節障害の改善があまりみられないときなどに併用するケースがあります。
光を浴びる
起立性調節障害の治し方のひとつが、朝目覚めたときに明るい光を浴びることです。身体が朝に光を浴びると、睡眠の質が低下する原因とされる体内時計のズレを修正できるためです。
人の身体は通常、体内時計をもとに睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌し、眠りへと誘います。しかし体内時計は25時間であり、日に日にズレが生じてメラトニンが分泌されるタイミングも後ろ倒しになります。結果的に朝起きられなかったり、夜に寝つきにくくなったりするのです。
しかし、太陽光のような明るい光を身体が浴びると、体内時計がリセットされます。夜間にメラトニンが分泌されるため、適切な睡眠リズムをとりやすくなり、規則正しい生活スタイルにもつながるでしょう。
食生活を見直す
これまでの食生活を見直すことも、起立性調節障害の有効な治し方のひとつです。規則正しい生活を送る、あるいは塩分の摂取量を調節することで身体の調子が良くなり、起立性調節障害の改善が見込めます。
具体的な治し方としては、毎日決まった時間に3食をとる方法が挙げられます。生活リズムを整えるためにも、朝昼晩と同じ時間に食事をするよう心がけましょう。主食や主菜など、バランスのとれた内容の食事をとることも大切です。
血流の低下を防ぐには、塩分の摂取量にも目を向ける必要があります。起立性調節障害に悩む中学生は1日あたり10gの塩分摂取が目安です。少し濃く味付けしたり、ラーメンを食べるときはスープを飲んだりすると塩分を摂取しやすくなります 。
運動に取り組む
これまで運動する機会がなかった中学生には、運動習慣の確保がおすすめです。起立性調節障害を引き起こすとされる自律神経の乱れを整え、適切な働きに戻す効果が期待されます。
外出できればウォーキングや散歩など、簡単にできる対策を講じてみてください。自宅で行うのであれば、スクワットが場所も費用もかからないのでおすすめです。無理しすぎると継続しにくいため、無理なくできる運動から行いましょう。
水を飲む
起立性調節障害の治し方としては、積極的に水を飲むことも有効です。起立性調節障害は水分不足も原因のひとつで、水分量が少なくなると血液量も減少し、脳や身体の血流が低下します。起立性調節障害の中学生は水分量が少ない傾向にあるため、飲む水の量にも気をつける必要があります。
必要な水分は、1日2Lが目安 なので、食事から摂取する以外にも、こまめに飲むようにしましょう。ペットボトルを用意しておくとわかりやすいです。
ゆっくり立ち上がる
自宅や学校などで立ち上がる必要があるときは、なるべくゆっくりと動くよう心がけてください。起立性調節障害は脳の血流が低下しているため、急に立ち上がると立ちくらみなどの症状が出る可能性があるためです。
立ち上がるときは、まず顔を下に向けてから、時間をかけて起立します。立った状態になったら最後に顔を上げるのが望ましい立ち方です。
起立性調節障害は周囲の理解とサポートが大切
起立性調節障害を治すには、本人はもちろん、親や学校の理解とサポートも重要なポイントです。病気に関する知識を深め、様子をみながら少しずつ改善へと取り組んでいくのが、起立性調節障害を改善させる近道になります。
たとえば朝起きられない子どもを強い口調で責め、無理やり登校させても根本的な解決にはなりません。「毎日決まった時間に学校へ行かなければいけない」との意識がストレスになり、かえって起立性調節障害が悪化する可能性があります。
まずは子どもに、自身が起立性調節障害であることを理解してもらい、治療に対して前向きな気持ちになってもらうことが大切です。学校関係者に相談し、遅刻しても大丈夫と思える環境をつくるなどの協力をあおいでみましょう。担任の先生から同じクラスの子どもたちに説明してもらい、起立性調節障害への知識を深めてもらうと、学校にも行きやすくなります。
まとめ
起立性調節障害は、小学校高学年から中学生の子どもに多い病気の一種です。非薬物療法や薬物療法での治療などで、症状が改善する可能性は十分にあります。
高根沢町にある安昇接骨院では、起立性調節障害に関するご相談にも対応しております。高根沢町やさくら市、那須烏山市にお住まいの方で、朝起きられないなどの症状にお困りの方は、ぜひお気軽にご来院ください。