自律神経の乱れと呼吸は関係が深い!呼吸が浅いときや苦しいときの対策方法も解説
ストレスや生活リズムの変化などにより、近年は誰もが自律神経のバランスを崩しやすくなったといっても過言ではありません。自律神経の乱れは身体の不調につながるため、簡単には考えられないのが実情です。
そこで今回は、自律神経の乱れを改善する呼吸の仕方を解説します。誰でも気軽に取り組める方法なので、自律神経の乱れについて気になる方はぜひ試してみてください。
自律神経と呼吸の関係性
自律神経と呼吸は一見すると無関係のように感じられますが、実は呼吸法を意識すると、乱れた自律神経を整えることにもつながります。
自律神経は、交感神経と副交感神経で成り立っている神経です。活動的な状態や緊張しているときは交感神経が、休息中は副交感神経が優位に働きながら生命を維持しています。交感神経は日中、副交感神経は夜から朝にかけて無意識のうちに働くのが特徴です。
しかし、ストレスなどにより自律神経のバランスが崩れると、交感神経が長時間優位に働き続けます。バランスを整えようにも自律神経の働きは無意識なので、直接調整はできません。
ところが、呼吸には無意識に働き続ける自律神経の乱れを整える効果が備わっています。意識をして呼吸することで、交感神経と副交感神経のバランスを整え、機能させることが可能です。なお、自律神経と関係の深い呼吸法は、交感神経と副交感神経でそれぞれ異なります。
交感神経が優位に働く胸式呼吸
胸式呼吸は、交感神経の働きを優位にするとされています。胸式呼吸とは、人が無意識のうちに行っている、短くて浅い呼吸法のことです。
胸式呼吸によって交感神経が刺激されると緊張感が高まるとともに、身体を活動状態へと変化させます。ストレスなどで交感神経が優位に働いているときに胸式呼吸をすると、さらに交感神経の働きを高めることにつながるため注意が必要です。
胸式呼吸は呼吸が浅く、吸い込む空気よりも吐き出す空気のほうが少量になり、吐き出せなかった空気が徐々に肺に溜まります。肺に古い空気が溜まり続けることでも、自律神経の乱れを引き起こす恐れがあります。
副交感神経を優位にする腹式呼吸
腹式呼吸は胸式呼吸と反対に、副交感神経の働きを優位にするとされています。腹式呼吸とは、お腹をふくらませつつ鼻から息を吸い込み、息を吐きながらお腹をへこませる呼吸法のことです。
腹式呼吸は、ゆっくりとした呼吸のリズムが特徴的で、繰り返し呼吸することで横隔膜が上下に動きます。時間をかけて呼吸することで、横隔膜に集中している自律神経にも刺激が与えられ、副交感神経が優位な状態になるのです。呼吸のスピードが遅いほど、副交感神経の優位性は上がります。
副交感神経の働きが優位なときは緊張感がゆるみ、心身ともにリラックスした状態 です。睡眠中は基本的に日中と異なり、自然に腹式呼吸をして心と身体を休めています 。朝起きたときにリフレッシュできているのは、無意識のうちに行っている腹式呼吸のおかげ といえます。
自律神経のバランスが整うと免疫力アップ
自律神経の乱れが整うと、交感神経と副交感神経のバランスが崩れていたときよりも免疫力が高まるといいわれています。これは、自律神経が免疫物質と密接な関係にあるためです。
人は通常、体内への侵入を試みるウイルスや細菌に対抗するために、粘膜から免疫物質「IgA」を分泌しています。自律神経のバランスが崩れるとIgAの分泌量が減少し免疫力の低下につながり、風邪をはじめとする感染症のリスクが高まります。
乱れていた自律神経のバランスを整えればIgAの分泌量も増加し、免疫力アップにつながるでしょう。交感神経あるいは副交感神経のうち、どちらか一方が優位に働きすぎる状況は避けるべきです。
自律神経の乱れに効果的な呼吸法
自律神経の乱れを整える呼吸法としておすすめなのが、腹式呼吸を含む3種類の方法です。
【自律神経の乱れを整える呼吸法】
- 腹式呼吸
- 片鼻呼吸法
- 478呼吸法
それぞれの方法について、特徴や呼吸に必要な時間などを確認していきましょう。
腹式呼吸
腹式呼吸は、誰でもできる簡単な呼吸法です。ゆっくりとしたスピードで息を吸って吐くことで、交感神経優位だった状態から副交感神経の働きを強くできます 。はじめのうちは慣れないかもしれませんが、意識して呼吸することで徐々に身体になじんでいくでしょう。
【腹式呼吸の方法】
- 仰向けになり、膝をたてて曲げた状態にする
- ゆっくりと鼻から息を吸い込む
- ゆっくりと口から息を吐き出す
腹式呼吸に取り組む際は、まず仰向けになった状態で始めるのがベストです。足の裏を床につけ、くの字になるように膝を曲げましょう。腹式呼吸ができているかチェックするためにも、手のひらは胸またはお腹の上に置くと良いです。
鼻から息を吸い込むときは、呼吸に合わせて横隔膜を動かすようにお腹をふくらませましょう。無理やり大きくふくらませる必要はなく、少しお腹がふくらんだ感覚が手に伝わる程度で構いません。ゆっくりと行うことがポイントです。
息を吐き出すときも同様、ゆっくりと時間をかけるようにしてください。吐き出した後にお腹がへこんでいれば、正しい腹式呼吸ができている証拠です。リズム良く呼吸できるようになったら、息を吸い込むときよりも長めに吐き出すようにしましょう。
仰向けの状態で腹式呼吸ができるようになったら、座った状態や立ったまま同じように呼吸してみてください。胸あるいはお腹に手を添えて、呼吸に合わせてお腹が動いているか確認すると良いでしょう。
片鼻呼吸法
片鼻呼吸法とは、片側の鼻を閉じた状態で息をするヨガの呼吸法の一種です。右側の鼻で呼吸すると副交感神経が、左側の鼻で呼吸すると交感神経が優位になる、とヨガでは考えられています。
【片鼻呼吸法の方法】
- 手を膝やももの上に置き、楽な姿勢のまま軽く背筋を伸ばす
- 右手の親指で右側の鼻を塞ぎ、左側の鼻からゆっくり息を吐き出す
- そのままゆっくり息を吸い込んだら、右手の親指を右側の鼻から左側の鼻に移動させ、同じように塞ぐ
- 2と同じようにゆっくり息を吐き出す
- 3以降を繰り返す
まずは呼吸法に慣れるため、自分のペースを保って行いましょう。慣れてきたら深い呼吸へとシフトチェンジして、10回繰り返すのが望ましいです。
478呼吸法
478呼吸法とは、質の良い睡眠をとりたいときに効果的な呼吸法のことです。良質な睡眠がとれず、自律神経が乱れているときに適しています。
【478呼吸法の方法】
- 楽な姿勢のまま、4秒かけて鼻から大きく息を吸い込む
- 7秒間息を止める
- 8秒かけ、ゆっくりと口から息を吐き出す
繰り返し478呼吸法を実践し、慣れてきたら呼吸を深めていきましょう。毎晩、布団に入った状態で取り組むことをおすすめします。
自律神経の乱れにはツボ押しも効果的
自律神経を整えたいときは、ツボを刺激することも有効な対策のひとつです。ツボ押しには血流をアップさせ、副交感神経を優位に働かせる効果があります。
【自律神経を整えるツボ】
- 内関:手首の内側、真ん中から指3本分下のあたり
- 労宮:拳を握ったとき、中指と薬指の間に位置する場所
手のひらにあるツボであれば刺激しやすいので、外出中や仕事の合間など気になるときに押してみてください。
呼吸が浅い・苦しいときは薬の服用も対策のひとつ
動悸や息切れなど、自律神経の乱れにともなう息苦しさを感じているときは、薬を服用することも考えてみてください。自律神経の乱れを直接治療する効果はないものの、症状を緩和する効果が期待できます。
薬は病院を受診して処方してもらうほか、市販のものを購入することも可能 です。自律神経のバランスを整えたいときは、こちらの方法も検討してみてください。
まとめ
自律神経はバランスを崩しやすく、適切な対応をとらなければ身体の不調につながります。腹式呼吸など自律神経を整えるのに有効な呼吸法を試して、自律神経と上手に付き合っていきましょう。
安昇接骨院では、患者様のお悩みに向き合い、対処法を探っていきます。高根沢町周辺にお住まいで、自律神経についてお悩みの方がいましたら、ぜひお気軽にご来院ください。